NTT、三菱UFJ、トヨタも…自社株買い、株価への影響と投資家の注意点
自社株買いとは4~5月に発表されたTOPIX構成銘柄企業の自社株買い設定金額は4.2兆円となり、4~5月ではコロナ禍前の2019年度の約3.6兆円を超える規模となっています。自社株買いとは、企業が自社の株式を自らの資金で買い戻す事です。 メリットしては、株式市場から自社の株式を購入し、その株式を消却することにより、市場に出回る株数が減ることで「EPS」(1株当たりの利益)の向上に繋がります。また、自社株買いは自己資本を使って行われるので、自己資本のうちの当期純利益の割合である「ROE」(自己資本当期利益率)の比率も良くなり、配当と同様に株主還元策の一つとされています。 デメリットは、手元のキャッシュを使って行われるため、自己資本比率が低下します。また、手持ちの現金が減ることで、経営上の資金繰りに支障をきたす可能性もあります。
今回発表した企業の特徴
今回、自社株買いの設定が多かった理由として、企業の業績に対する自信と自社の株価が割安との判断があるように思います。 また、今回の特徴として自己株式取得予定株数の上限が発行済株式総数に対する割合が高い事や、取得金額が大きい事が挙げられます。 今回発表された金額の大きい企業は、NTT(9432)の4000億、三菱UFJ(8306)の3000億、2000億が日立(6501)、ソニー(6758)、トヨタ(7203)、日本郵政(6178)、KDDI(9433)となります。その他で富士通(6702)、第一生命(8750)、信越化学(4063)、三井物産(8031)、ヤマダ電機(9831)、ENEOS(5020)が1000億円を超える規模の自社株買いを発表しました。 また、自己株式取得予定株数の上限が発行済株式総数に対する割合が高い企業は、ニコン(7731)の9.8%、コスモHD(5021)の9.6%、ENEOSの 9.3%、大成建設(1801)の9.0%などと続きます。いずれも、自社株買いを発表した当時の値段より上値で売買されています。その中でも発行済株式数に対する割合が高い企業の上昇が目立ちます。ニコンは25%、コスモHDは18.5%、ENEOSは約20%、大成建設は約12%値上がりしています。 その他でも自社株買いを発表した企業の株価は堅調に推移しているものが目立ちます。
自社株買いってどういう意味?売り時のタイミングとメリット・デメリットを徹底解説!
そこでそのような相場操縦行為を避けるため、自社株買いには購入割合の限度や時間帯の制限、指値での購入額など、規制のためにルールが定められているのです。
企業が自社株買いをする4つのメリット
企業が自社株買いをすると、どのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは4つのポイントに分け、自社株買いのメリットについて解説いたします。
株主に利益の還元ができる
株価が上がれば、株主の含み益も増えるので、自社株買いには実質的に配当金と同じような効果があると捉えても良いでしょう。
従業員の持ち株の確保
さらに自らの働きで業績にプラスの影響を与えられれば、その分持ち株で得られる利益も増加するため、従業員のモチベーションアップにもつながります。
敵対的買収の防止策になる
こうした効果もあるため、結果として自社株買いは敵対的買収を防止することにもつながるのですね。
浮動株を減らして供給を調整
そこで自社株買いを行い浮動株を減らせば、その分供給も減るため、株価が上昇しやすくなります。
自社株買いによる3つのデメリット
そのようなデメリットについて、3つのポイントに分けて見ていきましょう。
企業の自己資本の余裕がなくなる
一般的に、自己資本比率が20%を下回ると経営が危険に陥るとされていることもあり、いくら株主還元になるとはいえ、あまり無計画に自社株買いを行うような企業は投資対象としてリスクが高いかもしれませんね。
企業の自己株式の処分で利益の減少
なので、企業が自社株買いを発表したとしても安心せず、その後「消却」と「処分」どちらの処理がなされるかにも注意しておきましょう。
リスクの分散ができない
なので株価が低下したり、万が一倒産した時、その分の損失を直に受けることとなってしまうため、あまり自社株を大量に保有するのは危険な面もあります。
自社株買い企業への投資のポイント
ただし、投資を行う上では注意すべきポイントもいくつかあるので、ここでご説明いたします。
慌てて株を購入する必要はない
そこで、自社株買いが行われてもすぐに飛びつかず、期間中の値動きの波を観察し、いったん安くなったタイミングでエントリーしてみるのも良いでしょう。
実際に自社株買いをしない場合もある
これについては株主を大切にする起業か、など企業自身の体質も影響しているので、過去の実績をIR情報などから確認しておき、株主を軽視しているような企業の自社株買い発表は鵜呑みにしないことが無難と言えます。
売却ラインは予め決めておく
保有資金や取れるリスクの大きさとの兼ね合いも考慮し、ベストな売却ラインを定められると良いですね。
自社株買いに関するよくある疑問
そこで最後に、自社株買いに関するよくある疑問についての答えをまとめてみました。
事前に自社株買いをする企業は探せるのか
さらに、安定した成熟期に入っている企業が自社株買いを行うケースも多く見られます。理由としては、経営が落ち着いたことで以前のような成長の勢いが無くなった分、株主還元に舵を向けることが期待できるという点にあると考えられるでしょう。
自社株買いする企業は増えているのか
投資家にとっては非常に良い傾向と考えられ、今後も自社株買いを通じて利益を得るチャンスが期待できますね。
自社株買い (Stock Repurchase)
アメリカの上場企業にとって、自社株買いは重要な財務戦略であり、近年その重要性は高まってきている。実際、Bagwell and Shoven [1989] によると、1977年から1987年の10年間にアメリカ企業の配当は6割強増加したのに対し、自社株買いは約8倍になっている。また、Ikenberry, Lakonishok, and Vermaelen [1995] は、1980年から1990年の10年間にNYSE、AMEX、およびNASDAQにおいて実施された自社株買い総額が、同期間の配当総額1/3にまで達したと報告している。さらに彼らは、自社株買入れ総額が、同期間に行われた株式の新規公開額の約3倍であったことも報告している。
企業が自社株買いを行う理由については様々な説がある。例えば、税制上の有利さを活かした株主への配当手段とみなす説、株主資本比率(資本構成)の調整手段とみなす説、余剰資金の投資手段とみなす説、マーケットへのシグナルとみなす説などである。これら諸説については、Wansley, Lane, and Sarkar [1989] を参照してほしい。
現実に観察される株価の動向から有力なのは、自社株買いを企業からマーケットへのシグナルとみなす説である。アメリカにおける実証研究の多くは、自社株買いを発表した企業の株価が上昇したことを報告している(Comment 自社株買いとは and Jarrell [1991], Ikenberry, Lakonishok, and Vermaelen [1995] など)。また、筆者が流通科学大学の畠田敬氏と共同で進めているわが国企業を対象とした実証研究でも、同様の結果が観察されている。これらの結果は、自社株買いの発表が株価にとって好ましい情報であることを意味している。
- Barcley, M., and C. W. Smith, 1988, Corporate payout policy: Cash dividends versus open market repurchases, Journal of Financial Economics 22, 61-82.
- Comment, R., and G. Jarrell, 1991, The relative signaling power of Dutchauction and fixed price tender offers and open market 自社株買いとは share repurchases, Journal of Finance 自社株買いとは 46, 1243-1271.
- Ikenberry, 自社株買いとは D., and Lakonishok, J., and 自社株買いとは T. Vermaelen, 1995, Market under reaction to open 自社株買いとは market share repurchases, Journal of Financial Economics 39, 181-208.
- Wansley, J., W. Lane, 自社株買いとは and S. Sarkar, 1989, Managements’ view on share repurchase and tender offer premiums, Financial Management 18, 97-110.
Copyright©, 2003砂川伸幸
この「ビジネス・キーワード」は1999年10月配信の「メールジャーナル」に掲載されたものです。
ベビーカレンダー---反落、自社株買いを引き続き材料視、こども家庭庁発足決定も支え
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朝高後に下落に転じる。15日に上限4万株(1.00億円)の自社株買いを実施すると発表したことが引き続き買い材料視され買い先行で始まった。こども家庭庁が23年4月に発足することが決まり、子育て支援の推進で妊娠・出産・育児の情報メディアを手掛ける同社は恩恵を受けるとの見方も買いを支えていたもよう。しかし、地合いの悪化で全体相場が大きく下落するなか、徐々に利益確定売りに押される形に。なお、発行済株式総数(自社株を除く)に対する割合を4.93%から4.38%に訂正している。
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