FXのやり方紹介

オプションの計算について

オプションの計算について

CVCが気をつけるべきベンチャー企業の価値評価について (2)- リアルオプション

私の知っている限りにおいて、ベンチャーキャピタルなどの投資家がベンチャー企業への投資判断を行う際の判断材料としては、

(1)この事業に投資をすべきか否か? … 事業価値判断
(2)投資のタイミングは今か否か?. … 投資時期(オプション購入・行使時期)
(3)株価(企業価値金額)は適切か否か? … 投資としての収益性(資本政策の健全性)
(4)どのくらいの金額を投資すべきか? …. 自社のリスクオプション(ポートフォリオ設計)
(5)どのくらいのシェア(影響力)を確保すべきか? … 関与の深さ(戦略性)

の5つぐらいに分類されます。

この中で、「価値判断」に関係するのは、(1)、(3)ですが、CVCなど事業会社がベンチャー企業
への投資を行う際、通常考えているのは、


(1)この事業に投資をすべきか否か?… 自社にとって価値のある技術か否か
(2) 投資のタイミングは今か否か?


この2つだけではないかと思われます。多くの場合(3), (4), (5)が抜けている印象を受けます。(3)を重視しない理由は、投資原資であるR&Dコストは、経費であるため投資収益を測定する必要が生じないため(とはいえR&DプロジェクトとしてのCVC投資の投資効率の測定方法は確立していない)、(4)については、多くの場合予算が既に決められているため、(5)については金額とバリュエーションが固定値であれば自動的に決定されるため。
ベンチャー投資において(3) = 企業価値評価は、特にSeed/Earlyステージのベンチャーにおいては、その客観的測定は非常に困難です。VCの場合もつまるところ経験則、つまり「これまでの経験からこの分野の、このステージのベンチャー企業にこのくらいの条件で投資をしたらこのくらい儲かった」というレベル感でValuationが決まっているのではないでしょうか?便宜上はDCFで企業価値評価を行なっている事になっているかもしれませんが、DCFはその名の通り、将来のキャッシュフローとボラティリティー(リスク)がある程度予想出来ないと成り立たないので適用が困難です。


そこで、ベンチャー投資本などでときおり取り上げられるのがリアルオプションという考え方ですが、これがCVCの投資にとってかなり役に立つのではないかと考えております。リアルオプションは、ストックオプションで馴染みのある金融オプションの考え方を、実物資産に関する行使オプションの価値を評価するために応用するもので、不確実性の高いプロジェクトの現在価値評価をする際に、将来取りうることが出来る選択肢の価値を明確化することにより、本来リスクが高すぎるための現在価値(NPV)がマイナスであるプロジェクトでも実行する価値があることを説明するために使われるものです。
リアルオプションの種類については、プロジェクトの事情ごとに異なりますが、以下の代表的なものがあります。

– 延期オプション
– 段階オプション
– 撤退オプション
– 転換オプション
– オプションの計算について 参入オプション
– 成長オプション


リアルオプションは、元々石油掘削プロジェクトなど初期投資が大きく、将来の収益が市況など不確実性を伴うようなプロジェクトを中心に活用されてきましたが、不確実性や取りうる経営オプションの豊富さからベンチャー投資にも有効であろうと言われています。筆者は、このリアルオプションの考え方が、VCよりはむしろCVCにとって都合のようものなのではないかと考えています。

さて、ベンチャー企業への投資時における企業価値算定ですが、かなり乱暴に定義すると、ベンチャーキャピタルの場合

ベンチャー企業の現在価値 = DCF法によるNPV + リアルオプションによる追加価値


となりますが、金融投資のオプションしかない、VCにとってリアルオプションのよる追加価値算定はあまり関心のある領域ではないかもしれません。
ところが事業シナジーを主目的としたCVCや事業会社の場合、CVCにとってのベンチャー企業の価値は事業シナジーにより得られるであろう追加利益であり、ベンチャー企業の株式購入は単なる費用と考えられており、多くのCVCが、投資資金をR&D経費(損金)として扱い、DCF法によるNPVをゼロと算定しています。ですのでCVCの場合、


ベンチャー企業の現在価値 = リアルオプションの価値


ということになります。CVCにとってリアルオプションの価値を考えることは、とても意義があると考える理由です。


例えば、有機ELパネルメーカーA社が、パネルのコストを大幅に低減できる可能性のある材料を開発しているベンチャーB社に出資を検討しているとします。
この時に、投資により得られるリアルオプションについて考えると、

延期オプション(不確実性が高い段階での開発開始判断を延期できる)
独占オプション (M&Aの優先権があれば他社を排除できる)
撤退オプション (自社開発でないので、技術に見込みがないとわかった時点で撤退が容易)


など様々なオプションが考えられます。例えば、上記の独占オプションの価値はいくらなのかという質問に対して、モデルを非常に単純化して考えてみます。
B社の材料が5年後に完成し、出資の条件として1年間の独占使用権を得たとします。1年間の独占しようにより3年間は競合優位性を確保出来ると予想し見込まれる利益増加分を100億円/年とします。なおA社が投資をしなかった場合でかつ上記のシナリオ通りになった場合、利益減少が -100億円/年となると予想します。3年間で-300億円
それ以外のシナリオの場合は変化がないものとします。


投資をした場合
B社の製品が完成しかつ想定通りの競合優位性を持つ場合 300億円
B社の製品が完成しないか競合優位性を持たない場合 0円


投資をしなかった場合
B社の製品が完成しかつ想定通りの競合優位性を持つ場合 -300億円
B社の製品が完成しないか競合優位性を持たない場合 0円

オプションの計算について
ここでA社がB社に投資をすることにより得られるオプションは、B社が想定通りの製品を上市出来た場合に限り300億円の損失を回避し、300億円の利益を得られる権利を購入したということになります。”このオプションの購入価格はいくらであるべきか”については金融理論の専門家に譲るとして、事業会社としてこのオプションにいくらのなら払って良いかということになります。


例えば上記が実現する確率を10%程度とするとその期待値は10億円/年ということになります。Discount rate30%を適用するとこのキャッシュフローの現在価値は4.9億円程度になります。50%であれば1.8億円です。どのレートがオプション価格として受け入れられるかについては難しい問題ではあります。仮に1.8億円であれば、支払っても良いという判断である場合で、かつ、


A社は、独占オプションを得る為には、B社の株式を15%保有しないとならないとするとA社から見たB社の適正企業価値は、12億円ということになります。
リアルオプション法にしたがって、実際にその価値を計算するためには、市場価値が観察できる類似プロジェクト(企業)を見つけ出す必要がるが、ベンチャー企業の場合、厳つ問題として類似するものがないというケースが多く(特にIT系)、そのプロジェクトの分野により、得手不得手はあるものの、オプションを購入するという考え方自体は、CVCにとって非常に有効であるし、自社としてそれにどのくらいの価値を見いだせるのかについてコンセンサスを得る上でも役立つ手法だと思います。


それに、リアルオプションという考え方を取り入れるとCVCにおいても適正な企業価値とは一体いくらのなのか?という議論が進められるのではないでしょうか?
このような考え方で算定したベンチャーの企業価値をVCが算定した企業価値を比較してみてはどうでしょうか?リアルオプション価値評価重視のCVCとDCF価値評価重視のVCにとって互いの意思疎通の助けになると思います。

佐藤
(3)に続く

ストック・オプションの付与日における単価につきまして

以下は「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」からなのですが、以下の文中の「(2) 付与日における公正な評価単価及び権利行使価格については. 」の部分を、簡単な数値を用いて説明頂ける方、いらっしゃましたらお願いできますでしょうか? https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/stockop2-2.pdf (2) 複数の契約を集約して記載する方法 付与対象者の区分、権利確定条件の内容、対象勤務期間や権利行使期間の長さが概 ね類似しているものに関しては、(2)の記載方法によることができる。 ただし、株式の公開前に付与したストック・オプションと、公開後に付与したスト ック・オプションを集約して記載することはできない。権利行使価格の設定方法が著 しく異なるものについても、集約して記載することはできない。 なお、第 25 項(9)の計算については、月中の平均株価を用いる等、簡便で合理的な算 定方法によることができる。 28. 前項(2)により記載を行う場合、第 25 オプションの計算について 項(7)権利行使価格 、(8)付与日における公正な評価単価及び(オプションの計算について 9)権利行使時の株価の平均値の項目に関する集約の方法は 次による。 (1) 権利行使時の株価の平均値については当該会計期間中の権利行使数に基づく加重 平均値 (2) 付与日における公正な評価単価及び権利行使価格については当該会計期間中の権 利行使数に基づく加重平均値と当該会計期間末の残存数(権利未確定数と権利確定 未行使数との合計)に基づく加重平均値

以下は「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」からなのですが、以下の文中の「(2) 付与日における公正な評価単価及び権利行使価格については. 」の部分を、簡単な数値を用いて説明頂ける方、いらっしゃましたらお願いできますでしょうか?

(2) 複数の契約を集約して記載する方法
付与対象者の区分、権利確定条件の内容、対象勤務期間や権利行使期間の長さが概
ね類似しているものに関しては、(2)の記載方法によることができる。
ただし、株式の公開前に付与したストック・オプションと、公開後に付与したスト
ック・オプションを集約して記載することはできない。権利行使価格の設定方法が著
しく異なるものについても、集約して記載することはできない。
なお、第 25 項(9)の計算については、月中の平均株価を用いる等、簡便で合理的な算
定方法によることができる。

28. 前項(2)により記載を行う場合、第 25 項(7)権利行使価格 、(8)付与日における公正な評価単価及び(9)権利行使時の株価の平均値の項目に関する集約の方法は
次による。

(1) 権利行使時の株価の平均値については当該会計期間中の権利行使数に基づく加重
平均値
(2) 付与日における公正な評価単価及び権利行使価格については当該会計期間中の権
利行使数に基づく加重平均値と当該会計期間末の残存数(権利未確定数と権利確定
未行使数との合計)に基づく加重平均値

コール オプション価格についてのブラック・ショールズの公式

次に、同じストック オプションで、満期までの期間が変わり、日々の株価がわからないとします。満期までの期間 T を 0~0.25 年まで変動させ、スポット価格 S オプションの計算について オプションの計算について を 50 ドル~140 ドルまで変動させた場合の、このコール オプションの価格を求めます。行使価格 ( K )、ボラティリティ ( sigma )、および金利 ( r ) は、前の例の値を使用します。この場合、満期までの期間 T と日々の株価 S を変量として使用します。

シンボリック式 C を定義し、 T と S を未知の変数として使用してコール オプション価格を表現します。

Figure contains an axes object. The axes object contains an object of type functionsurface.

満期までの期間 0.1 年、スポット価格 105 ドルで、コール オプション価格を計算します。 subs を使用して T と S の値を式 C に代入します。 vpa を使用して価格を数値結果として返します。

スポット価格を求める

オプション価格が変化した場合に、原株価にどのような影響があるかを知りたいとします。これは、既知のパラメーター K 、 σ 、 T 、 r 、および C を与えたブラック・ショールズの公式から S を求める問題です。

たとえば、1 か月後に、同じコール オプション価格が満期までの期間 2 か月で 15.オプションの計算について 04 ドルで取引されるとします。原株のスポット価格を求めます。未知のパラメーター S をもつブラック・ショールズの公式を表現するシンボリック関数 C(S) を作成します。

vpasolve を使用して原株のスポット価格を数値的に解きます。正の数値でのみ解を求めます。原株のスポット価格は 106.162 ドルです。

インプライド ボラティリティを求める

オプション価格が変化した場合に、インプライド ボラティリティがどうなるか知りたいとします。これは、既知のパラメーター S 、 K 、 T 、 r 、および C を与えたブラック・ショールズの公式から σ の値を求める問題です。

95 ドルの行使価格で、3 か月で有効期限が切れる、同じストック オプションを考えます。原株が 100 ドルで取引され、無リスク金利が年間 1% オプションの計算について であると仮定します。6 ドル~25 ドルの範囲のオプション価格の関数としてインプライド ボラティリティを求めます。オプション価格の範囲のベクトルを作成します。未知のパラメーター sigma をもつブラック・ショールズの公式を表現するシンボリック関数 C(sigma) を作成します。 vpasolve を使用してインプライド ボラティリティを数値的に解きます。

ストック・オプションの付与日における単価につきまして

以下は「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」からなのですが、以下の文中の「(2) 付与日における公正な評価単価及び権利行使価格については. 」の部分を、簡単な数値を用いて説明頂ける方、いらっしゃましたらお願いできますでしょうか? https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/stockop2-2.pdf (2) 複数の契約を集約して記載する方法 付与対象者の区分、権利確定条件の内容、対象勤務期間や権利行使期間の長さが概 ね類似しているものに関しては、(2)の記載方法によることができる。 ただし、株式の公開前に付与したストック・オプションと、公開後に付与したスト ック・オプションを集約して記載することはできない。権利行使価格の設定方法が著 しく異なるものについても、集約して記載することはできない。 なお、第 25 項(9)の計算については、月中の平均株価を用いる等、簡便で合理的な算 定方法によることができる。 28. 前項(2)により記載を行う場合、第 25 項(7)権利行使価格 、(8)付与日における公正な評価単価及び(9)権利行使時の株価の平均値の項目に関する集約の方法は 次による。 (1) 権利行使時の株価の平均値については当該会計期間中の権利行使数に基づく加重 平均値 (2) 付与日における公正な評価単価及び権利行使価格については当該会計期間中の権 利行使数に基づく加重平均値と当該会計期間末の残存数(権利未確定数と権利確定 未行使数との合計)に基づく加重平均値

以下は「ストック・オプション等に関する会計基準の適用指針」からなのですが、以下の文中の「(2) 付与日における公正な評価単価及び権利行使価格については. 」の部分を、簡単な数値を用いて説明頂ける方、いらっしゃましたらお願いできますでしょうか?

(2) 複数の契約を集約して記載する方法
付与対象者の区分、権利確定条件の内容、対象勤務期間や権利行使期間の長さが概
ね類似しているものに関しては、(2)の記載方法によることができる。
ただし、株式の公開前に付与したストック・オプションと、公開後に付与したスト
ック・オプションを集約して記載することはできない。権利行使価格の設定方法が著
しく異なるものについても、集約して記載することはできない。
なお、第 25 項(9)の計算については、月中の平均株価を用いる等、簡便で合理的な算
定方法によることができる。

28. 前項(2)により記載を行う場合、第 25 項(7)権利行使価格 、(8)付与日における公正な評価単価及び(9)権利行使時の株価の平均値の項目に関する集約の方法は
次による。

(1) 権利行使時の株価の平均値については当該会計期間中の権利行使数に基づく加重
平均値
(2) 付与日における公正な評価単価及び権利行使価格については当該会計期間中の権
利行使数に基づく加重平均値と当該会計期間末の残存数(権利未確定数と権利確定
未行使数との合計)に基づく加重平均値

CVCが気をつけるべきベンチャー企業の価値評価について (2)- リアルオプション

私の知っている限りにおいて、ベンチャーキャピタルなどの投資家がベンチャー企業への投資判断を行う際の判断材料としては、

(1)この事業に投資をすべきか否か? … 事業価値判断
(2)投資のタイミングは今か否か?. … 投資時期(オプション購入・行使時期)
(3)株価(企業価値金額)は適切か否か? … 投資としての収益性(資本政策の健全性)
(4)どのくらいの金額を投資すべきか? …. 自社のリスクオプション(ポートフォリオ設計)
(5)どのくらいのシェア(影響力)を確保すべきか? … 関与の深さ(戦略性)

の5つぐらいに分類されます。

この中で、「価値判断」に関係するのは、(1)、(3)ですが、CVCなど事業会社がベンチャー企業
への投資を行う際、通常考えているのは、


(1)この事業に投資をすべきか否か?… 自社にとって価値のある技術か否か
(2) 投資のタイミングは今か否か?


この2つだけではないかと思われます。多くの場合(3), (4), (5)が抜けている印象を受けます。(3)を重視しない理由は、投資原資であるR&Dコストは、経費であるため投資収益を測定する必要が生じないため(とはいえR&DプロジェクトとしてのCVC投資の投資効率の測定方法は確立していない)、(4)については、多くの場合予算が既に決められているため、(5)については金額とバリュエーションが固定値であれば自動的に決定されるため。
ベンチャー投資において(3) = 企業価値評価は、特にSeed/Earlyステージのベンチャーにおいては、その客観的測定は非常に困難です。VCの場合もつまるところ経験則、つまり「これまでの経験からこの分野の、このステージのベンチャー企業にこのくらいの条件で投資をしたらこのくらい儲かった」というレベル感でValuationが決まっているのではないでしょうか?便宜上はDCFで企業価値評価を行なっている事になっているかもしれませんが、DCFはその名の通り、将来のキャッシュフローとボラティリティー(リスク)がある程度予想出来ないと成り立たないので適用が困難です。


そこで、ベンチャー投資本などでときおり取り上げられるのがリアルオプションという考え方ですが、これがCVCの投資にとってかなり役に立つのではないかと考えております。リアルオプションは、ストックオプションで馴染みのある金融オプションの考え方を、実物資産に関する行使オプションの価値を評価するために応用するもので、不確実性の高いプロジェクトの現在価値評価をする際に、将来取りうることが出来る選択肢の価値を明確化することにより、本来リスクが高すぎるための現在価値(NPV)がマイナスであるプロジェクトでも実行する価値があることを説明するために使われるものです。
リアルオプションの種類については、プロジェクトの事情ごとに異なりますが、以下の代表的なものがあります。

– 延期オプション
– 段階オプション
– 撤退オプション
– 転換オプション
– 参入オプション
– 成長オプション


リアルオプションは、元々石油掘削プロジェクトなど初期投資が大きく、将来の収益が市況など不確実性を伴うようなプロジェクトを中心に活用されてきましたが、不確実性や取りうる経営オプションの豊富さからベンチャー投資にも有効であろうと言われています。筆者は、このリアルオプションの考え方が、VCよりはむしろCVCにとって都合のようものなのではないかと考えています。

さて、ベンチャー企業への投資時における企業価値算定ですが、かなり乱暴に定義すると、ベンチャーキャピタルの場合

ベンチャー企業の現在価値 = DCF法によるNPV + リアルオプションによる追加価値


となりますが、金融投資のオプションしかない、VCにとってリアルオプションのよる追加価値算定はあまり関心のある領域ではないかもしれません。
ところが事業シナジーを主目的としたCVCや事業会社の場合、CVCにとってのベンチャー企業の価値は事業シナジーにより得られるであろう追加利益であり、ベンチャー企業の株式購入は単なる費用と考えられており、多くのCVCが、投資資金をR&D経費(損金)として扱い、DCF法によるNPVをゼロと算定しています。ですのでCVCの場合、


ベンチャー企業の現在価値 = リアルオプションの価値


ということになります。CVCにとってリアルオプションの価値を考えることは、とても意義があると考える理由です。


例えば、有機ELパネルメーカーA社が、パネルのコストを大幅に低減できる可能性のある材料を開発しているベンチャーB社に出資を検討しているとします。
この時に、投資により得られるリアルオプションについて考えると、
オプションの計算について
延期オプション(不確実性が高い段階での開発開始判断を延期できる)
独占オプション (M&Aの優先権があれば他社を排除できる)
撤退オプション (自社開発でないので、技術に見込みがないとわかった時点で撤退が容易)


など様々なオプションが考えられます。例えば、上記の独占オプションの価値はいくらなのかという質問に対して、モデルを非常に単純化して考えてみます。
B社の材料が5年後に完成し、出資の条件として1年間の独占使用権を得たとします。1年間の独占しようにより3年間は競合優位性を確保出来ると予想し見込まれる利益増加分を100億円/年とします。なおA社が投資をしなかった場合でかつ上記のシナリオ通りになった場合、利益減少が -100億円/年となると予想します。3年間で-300億円
それ以外のシナリオの場合は変化がないものとします。 オプションの計算について


投資をした場合
B社の製品が完成しかつ想定通りの競合優位性を持つ場合 300億円
B社の製品が完成しないか競合優位性を持たない場合 0円


投資をしなかった場合
B社の製品が完成しかつ想定通りの競合優位性を持つ場合 -300億円
B社の製品が完成しないか競合優位性を持たない場合 0円


ここでA社がB社に投資をすることにより得られるオプションは、B社が想定通りの製品を上市出来た場合に限り300億円の損失を回避し、300億円の利益を得られる権利を購入したということになります。”このオプションの購入価格はいくらであるべきか”については金融理論の専門家に譲るとして、事業会社としてこのオプションにいくらのなら払って良いかということになります。


例えば上記が実現する確率を10%程度とするとその期待値は10億円/年ということになります。Discount rate30%を適用するとこのキャッシュフローの現在価値は4.9億円程度になります。50%であれば1.8億円です。どのレートがオプション価格として受け入れられるかについては難しい問題ではあります。仮に1.8億円であれば、支払っても良いという判断である場合で、かつ、


A社は、独占オプションを得る為には、B社の株式を15%保有しないとならないとするとA社から見たB社の適正企業価値は、12億円ということになります。
リアルオプション法にしたがって、実際にその価値を計算するためには、市場価値が観察できる類似プロジェクト(企業)を見つけ出す必要がるが、ベンチャー企業の場合、厳つ問題として類似するものがないというケースが多く(特にIT系)、そのプロジェクトの分野により、得手不得手はあるものの、オプションを購入するという考え方自体は、CVCにとって非常に有効であるし、自社としてそれにどのくらいの価値を見いだせるのかについてコンセンサスを得る上でも役立つ手法だと思います。

オプションの計算について オプションの計算について
それに、リアルオプションという考え方を取り入れるとCVCにおいても適正な企業価値とは一体いくらのなのか?という議論が進められるのではないでしょうか?
このような考え方で算定したベンチャーの企業価値をVCが算定した企業価値を比較してみてはどうでしょうか?リアルオプション価値評価重視のCVCとDCF価値評価重視のVCにとって互いの意思疎通の助けになると思います。

佐藤
(3)に続く

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